泌尿器科医の徒然日誌

日々思ったこと、医療情報などを綴っています

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昨日、三郷市医師会の研究会に僕の前任地のボスである福井巌先生が招かれ、泌尿器がんの講演をされました。
そして、講演後の質疑応答で数人の先生から、今年から三郷市に導入された「前立腺がん検診(PSA検診)」の正当性について鋭い質問がありました。

いやー、泌尿器科の専門でない先生方も非常に勤勉に泌尿器科領域の情報も収集されていると、僕は敬服しました。

今日はその内容を掘り下げて紹介します。


と、その前に・・・
今日の話題の結論としては、僕は皆さんに、「是非PSA検診を受けて頂きたい」と思います。。。(50歳以上はPSAチェックを受けるべきであり、また、前立腺癌は遺伝性があるため、アメリカでは家族に前立腺癌がいる人は40歳または45歳からのPSA検診が推奨されていますよ)


さて、それでは本題に入りますが、以前このブログでご紹介したように、三郷市でも今年から65才以上の方を対象に、無料で前立腺がんの検診を開始しました。

ただ、このPSA検診に関しては色々裏話があるのです。
というのも、2002年に天皇陛下が前立腺がんを患われて以来、急速に日本で前立腺がん検診が普及したのですが(2009年の厚生労働省調査によれば、全国の市町村の64%で、PSA検査による前立腺ガン検診が行われていました)、2009年3月にある有名医学誌(The New England Journal of Medicine)から報告された2つの研究報告をもとに厚生労働省がPSA検診を再検討し始めたのです。

その報告の内容は、
前立腺癌検診の有用性を検討した大規模比較試験が欧州と米国から報告されたのですが、それらの結果は全く異なっていました。前者は検診により20%も死亡率を低下させたという内容でしたが、後者は検診を受けなくても死亡率に差はないというものであったのです。

それを受けて厚労省は以下の文面を出しました。
「PSA検査は診療として用いるには有用な検査ですが、がん検診として効果があるかどうかは不明です。従って、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が現時点では不十分であるため、現在のところ集団を対象とした対策型検診としては勧められません。個人を対象とした任意型検診(人間ドック等)として行う場合には、受診者に対して、効果が不明であることと、過剰診断などの不利益について適切に説明する必要があります」と。
また、このようにも書かれています。
「ただし、研究の結果が明らかになり次第ガイドラインの改定を検討することにしています」…。

つまり、お金をかけて前立腺がんを発見しても死亡率に差がないのだからとりあえずやめましょうか。と言ったところなのでしょうか。

ところが、今年の2月にこれまた有名医学誌(Journal of Clinical Oncology)から
「米国の調査自体に問題があった」
とのことで、米国の同一グループから訂正報告が出されたのです。
そして、その結論としては「PSA検診」をほぼ支持した形になったのです。

日本では前立腺がん罹患患者数は2020年には78,000人以上となり、肺がんに次いで男性の癌のうち、第2番目の罹患数になると予測されています。また、前立腺がん年齢調整死亡率は、2020年には2000年の約1.4倍に、死亡数は2.8倍になると予測されています。

米国では50歳以上の75%がPSA検診を受けているのですよ。

皆さんも前立腺がんで苦しまないようにしっかりチェックしましょう。

ちなみに前立腺がん検診(PSA検診)は採血をするだけです。

前立腺がんに罹患した主な著名人:
日本人
ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹氏
演歌歌手の三波春夫氏
読売新聞社会長の渡辺恒雄氏
元総理大臣の森喜朗氏
映画監督の深作欣二氏
タレントの間寛平氏

日本人以外
ジェームス・ボンド役で有名なロジャー・ムーア氏
カンボジア王国のシアヌーク殿下
元フランス大統領のミッテラン氏
イランのホメイニ師
前イタリア首相のベルルスコーニ
ヨルダンのフセイン
湾岸将軍と呼ばれた米国軍人のシュワルツコフ
実業家のマイケル・ミルケン
コメディアンのジェリー・ルイス
作家のポール・アンダーソン
映画俳優のロバート・デ・ニーロ
「9.11テロ」のときのニューヨーク市長のジュリアーニ氏 
などなど他多数

ブログを読んでいただていてる皆様

私事で大変恐縮ですが、実は実父が急死したためブログの更新が遅れております。
5/9からは私自身、気持ち戻して通常業務に戻る所存です。

今後とも何卒よろろしくお願いいたします。

2011/05/28(土)に当院の近くで市民公開講座を開く 予定 をしていますが、まだ結構先なので、今日は、泌尿器科の紹介をしようと思います。

皆さんは泌尿器科医というと
「おしっこの先生」
「おちんちんの先生」
といったイメージがあるかと思います。

実はかくいう僕も、学生時代は外科に行こうと思っており、泌尿器科には全く興味がなかったので、「泌尿器科ってなにするの?」と思ってました(泌尿器科の授業にもほとんど出ていなかったので…)。

では 「泌尿器科医ってなにするの?」

それは、「おしっこの先生」に近いと言われれば近いのですが、「おしっこの通り道にできる病気を治す医者」というのが大まかな回答でしょうか(厳密にはちょっと違うのですが…)

つまり、
① 腎臓(血液が濾過されて尿ができるところ)
② 尿管(濾過された尿を膀胱に運ぶ管)
③ 膀胱(尿の貯蔵タンク)
④ 前立腺(尿の通り道)
⑤ 尿道(尿の通り道)

です。それに加えて
⑥ 副甲状腺
⑦ 精巣
⑧ ペニス
⑨ 上記の付属物

などにできる 癌を含めた病気 をまとめて診ます。(腎臓に関しては腎臓内科の先生に頼むような病気もありますが)

さらに細かく言うと
腎臓:癌、炎症(腎盂炎など)、結石など
尿管:癌、炎症、結石など
膀胱:癌、炎症(膀胱炎など)、結石、脱など
前立腺:癌、肥大症、炎症など
精巣:癌、炎症、捻転症、停留精巣
陰茎:癌、包茎、ED(以前インポテンツと言われていたもの)、性機能障害
などなど、それなりに沢山あるのです。

別に、僕らは おしっこ と ちんちん ばかり見ているわけではないんですよ(笑)。
実際、僕も専門(研究テーマ)は 泌尿器がん ですし…。

5月の公開講座の時にはもう少し込み入った内容を 老若男女 全世代を対象に話したいと思いますので、ぜひご参加ください。

最後に、脅すつもりはありませんが下記のチェックしていますか?

男の子を育ててらっしゃる方:
・精巣はちゃんと陰嚢に納まってますか? (停留精巣など)
・包茎は大丈夫ですか? (包茎は陰茎癌・炎症を起こす確率が上がります)

女の子を育ててらっしゃる方:
・膀胱炎を繰り返したりしていませんか? (膀胱尿管逆流など)

若い男性:
・包茎は大丈夫ですか?(包茎は陰茎癌になる確率が上がります)
・精巣が固くなっていたり、たまに痛みが出ることはありませんか? (精巣腫瘍、精巣捻転など)
・ED・性機能障害は大丈夫ですか? (EDの頻度は成人男性の5~20%とされ,わが国の疫学調査では中等度および完全EDを合わせた患者数は1,130万人と推定されています)

若い女性:
・膀胱炎を繰り返したりしていませんか? (繰り返す場合には原因疾患が隠れてる場合があります)

中年以降の男性:
・PSA(前立腺癌のマーカー)のチェックはしていますか? (三郷市では65歳以上の方は無料でPSA検診が受けられますが、50歳以上はPSAチェックを受けるべきであり、また、前立腺癌は遺伝性があるためアメリカでは家族に前立腺癌がいる人は40歳または45歳からのPSA検診が推奨されています)
・超音波検査やCTなどを定期的に受けてますか? 腎癌などは血尿・痛み・しこりなどが出現した時点では進行していることがほとんどです。また、血尿があったりしたら腎盂癌・尿管癌・膀胱癌も考えられます
・排尿障害はありませんか? (前立腺肥大など)

中年以降の女性:
・膀胱炎を繰り返したりしていませんか? (繰り返す場合には原因疾患が隠れてる場合があります)
・超音波検査やCTなどを定期的に受けてますか? 腎癌などは血尿・痛み・しこりなどが出現した時点では進行していることがほとんどです。また、血尿があったりしたら腎盂癌・尿管癌・膀胱癌も考えられます

などなど…。

心配な方は是非一度泌尿器科にいらしてください。

※2011/05/28(土)の公開講座に関しては詳細が決まり次第このブログでも告知しますが、
できれば参加者の方々の大まかな人数を把握しておきたいので、当院にご連絡の上、参加希望と伝えていただけると幸甚です。(医療法人三愛会 三愛会総合病院 TEL/ 048-958-3111)

三郷に移って一週間が過ぎました。
まだ医療自体は忙しくありません(むしろ患者さんがいないので暇です)が、暇なうちに事務的なことをやってしまおうと走り回っていたのでこの一週間結構疲れました。今日は当院で行う医療についてご紹介したいと思います。

基本的には大学病院レベルの医療を三郷の方々に提供する、というのが僕のコンセプトですが、いきなりなかなかそうもいかないとはおもいます。

そこで、とりあえずは、
①難易度の高い小児泌尿器
②専門性の高い女性泌尿器
③腹腔鏡手術
以外は極力やっていきたいと思っています。

それから、以下のことにもこだわっていきたいと思っています。

④なるべく痛くなく、辛くなく、ということにこだわる。

つまり、たとえば健康診断で前立腺がんの疑いと診断され、前立腺の生検を受けられた経験のある方も多いかと思いますが、あの検査痛いですよねぇ。当科では麻酔をかけて検査するので、検査時の痛みは麻酔をしないのとでは雲泥の差です。また、通常は麻酔をかけないでやってしまうような検査でも極力麻酔をしっかりかけて行いたいと思います。今後、患者さんがすごく増えたらそれができるか何とも分かりませんが、可能な限り痛くなく、辛くなくを忘れずに行って行きたいと思っています。

⑤患者さん、ご家族の意見を尊重する。

つまり、医療の主役は患者さんご自身です。僕らは病気と闘う患者さんのお手伝いをするに過ぎません。ということで、すべては到底無理ですが、可能な限り主役の意見を尊重し医療を進めたいと思っています。

⑥道具にこだわる

つまり、一流の医療をするには医師の知識・技術は固より、道具(道具の存在の知識)も大切です。今回、当院には大学病院に引けを取らないくらいの道具を導入しました。

また、新しい類の手術方法としてはHoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)も行います。
これは前立腺肥大症に対する手術方法で、ホルミウムレーザーを用いた内視鏡下の前立腺核出術です。今まで前立腺核出術は、おなかを開けて被膜下摘除術という方法を用いて行われていました。HoLEPは従来、開放手術が選択されるような大きな前立腺肥大症例に対しても内視鏡下に施行できるもので、有用性が高く、開放手術に替わる minimum-invasive surgery (小皮切・小侵襲な手術) として注目を集めています。さらに入院期間が短縮される点でも普及しつつある治療です。実際アメリカをはじめ、海外では主流になっており国内でも保険適応です(実施している医療機関は、2008年9月現在全国で約80施設です)。

以上、当院泌尿器科の簡単な紹介でした。

近々、当院界隈で公開講座も開いていく予定ですので、是非ともご参加いただけると幸甚です。

次回は、最近流行りの「腹腔鏡手術」を僕がなぜやらないのか。について書こうと思います。学ぶチャンスは幾度かありましたが、僕が敢えて手を出さなかった理由を書きます。。。

昨日は三愛会総合病院での初日だった。僕は、一日外来であったが、来院患者さんはなんと2人!
ま、これからどんどん患者さんが来てくれるようにすればよい。
それには、(今まで通り)自分の親族を診るつもりで丁寧な医療を続けなければ。。。

本当は昨日ブログを書くつもりでいたのだが、インターネットがつながらない環境だったので、今日書きました。


それでは、三郷の皆さんよろしくお願いします。

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