先日、当科が ”前立腺肥大症” と ”前立腺がん” の手術件数で雑誌に掲載されたことは当ブログでもアナウンスした通りですが(  週刊朝日 , いい病院2016 )、Twitterを見ていたら「(執刀)手術件数が多ければ名医(手術が上手)か」という記事があったので一言。
(当院の事を言及した記事ではありません)

「(執刀)手術件数が多ければ名医(手術が上手)か」への僕の見解はNOです。つまり、この記事に同意です。
以前から当ブログにも何度か書いていますが、僕は常々手術の執刀件数<<<手術クオリティーの探求 だと思っています。
場数を踏まないと学べないことも多々ある事は論を俟ちませんが…。

そして、手術件数は手術適応のハードルを下げることで増えるのです。
要は、手術をしないでもいい患者さんに手術をすることで手術件数が増え、延いては名医と呼ばれるようになるのです。果たしてそれでよいのでしょうか?

論外です。

逆に、如何に手術が必要な患者さんを見極めるかも医師の腕の見せどころです。
実は、僕ら三愛会総合病院の泌尿器科も手術適応は広めなのです。ただし、ハードルは高く設定しています。
つまり、手術できない、と他院で言われた患者さんも当科で再検討し、手術できる(手術するメリットが勝つ)という結論にいたれば手術も提示します。逆に、いくら元気な患者さんであっても手術の必要がなければ待機療法(何もしない治療法)なども提示します。

因みに、日本の前立腺がんの診療ガイドライン(詳しくは 前立腺癌診療ガイドライン〈2012年版〉の115ページをご参照ください)では、手術の良い適応は「PSAが10ng/mL未満」となっていますが(厳密には但し書きがつく)、僕らはPSAが100を超えていても手術する場合があります。
そして、それらはきちんと日本泌尿器科学会総会などでも発表しています。

それが、僕のやりたい医療です。
可能な限り、「無理です・できません」、とは言いたくない…。

だから今後も、手術適応をしっかり見極めつつ、可能な限り「NO」と言わないで済むように研鑽を積んでいきたいと思っています。
その結果、雑誌などに「(手術成績が)いい病院」として当科が掲載されるのならば大変光栄です。


さて、来週からは本格的に国際学会の準備です。今年もまた統計解析ソフトとの戦いが始まります…。

【今日の一冊】


気にはなっていたけどずっと読めていなかった本ですが、今の僕の心の琴線に触れる一冊でした。
「スマホなんか見ていないで子供の顔をもっとしっかり見よう」、とヤスさんに教えられました。