泌尿器科医の徒然日誌

日々思ったこと、医療情報などを綴っています

2011年10月

今週の手術はPNL、HoLEPなどでした。
病棟は化学療法をされていた方々が、元気に帰って行かれました。
よく耐えてくださいました。。。


<今週の医療ニュース>

≪≫内は僕のコメント


●MRIが癌の早期発見に威力
6分半で全身拡散強調画像を撮る装置も登場



MRIの用途が広がっている。主に脳神経領域に用いられてきた拡散強調画像(DWI)を、体幹部に応用する技術が実用化。PETのように全身の腫瘍スクリーニングに活用する動きも出てきた。
 
今年5月、東海大病院でフィリップスエレクトロニクスジャパンの新型MRI装置「Ingenia 3.0T」の国内第1号機が稼働した。同装置の最大の特徴は、撮影時間が短くて済むこと。全身の拡散強調画像(Diffusion Weighted Image:DWI)が6分30秒ほどで撮影できる。従来装置の3分の1から4分の1の速さだ。完全デジタル化による信号強度比(SNR)の向上や、軸位断より撮影枚数の少ない冠状断で撮影するアプリケーションの開発などにより、それを実現した。

多くの医療機関では、MRIの1件当たりの検査枠の上限が30分程度であり、これまで全身DWIの施行は難しかった。Ingeniaなら、DWIにT1・T2強調画像を加えても通常の検査枠内で全身撮影が可能だ。東海大工学部医用生体工学科教授で放射線科専門医の高原太郎氏は、「ゆがみの少ない全身DWIが、頭部のMRAと同程度の時間で撮れ、ルーチン検査に組み込めるようになった点は革新的だ」と評価する。

DWIは、水分子の拡散現象の多寡を検出し画像のコントラストに用いる撮像法で、急性期脳梗塞の診断に広く用いられてきた。悪性腫瘍のように細胞密度が高い組織でも拡散運動が低下し高信号を呈することから、腫瘍イメージングの研究が進んでいる。


 また、PETで用いる放射性医薬品(FDG)の排泄経路である腎、尿路、膀胱の病変検出はDWIが優れるし、肝臓もDWIが得意とする部位だが、癌の検出精度について一定の見解はない。今後、各地の臨床現場で全身DWIがルーチンに撮影されるようになれば、こうした検証が一層進むものと期待される。


≪これはすごく興味ありますねー。個人的には導入するならPET/CTよりこちらを導入してほしいです。MRIは癌の検出にも有用です。3テスラというのが使いにくくてネックですが。タトゥーやアイラインなどでもやけどをすることがあるので…≫

先週のブログは原稿をほぼ作ってあったのですが、アップするのを忘れました…。
ということで、先週分はskipして今週分を。

今週はHoLEPが4件、他もろもろでした。月曜日のHoLEPは新潟からHoLEPのエキスパートの一人である先生に
きていただきました。やはり、ある程度症例を重ねてから他の人の手術を見ることはとてもよい勉強になります。
こんなチャンスを与えて頂き感謝です…。

<今週の医療ニュース>

≪≫は僕のコメント


●NSAIDs系鎮痛薬の使用は腎細胞癌リスクを高める
(Renal Cell Carcinoma and the Widespread Use of NSAIDs: Comment on "Prospective Evaluation of Analgesic Use and Risk of Renal Cell Cancer")



アスピリン以外の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の日常的な使用と腎細胞癌の間に有意な関係があることが、2件の大規模前向き研究のデータを利用した研究で示された。米Harvard大学医学部のEunyoung Cho氏らが、Arch Intern Med誌2011年9月12日号に報告した。

 鎮痛薬の使用が腎細胞癌リスクを高めることを示唆したケースコントロール研究などの結果は複数報告されていたが、前向き研究で確認されたのは今回が初めて。

 アスピリンの日常的な使用とアセトアミノフェンの日常的な使用は、腎細胞癌リスクと無関係だった。

アスピリン以外のNSAIDsの使用頻度については、1カ月に1~4日使用する女性の腎細胞癌罹患の相対リスクは1.08(0.67-1.74)、5~14日使用群では1.30(0.71-2.39)、それ以上使用していた女性では1.86(1.19-2.90)になった。


 アスピリン以外のNSAIDsの日常的使用期間と腎細胞癌リスクの間には用量反応関係が認められた。多変量調整相対リスクは、使用期間が4年未満では0.81(0.59-1.11)、4年以上10年未満は1.36(0.98-1.89)、10年以上では2.92(1.71-5.01)だった(傾向性のP<0.001)。

アスピリンとアセトアミノフェンについては、使用期間が長くなっても腎細胞癌との間の関係は有意にならなかった。アスピリンの日常的な使用を10年以上続けていた人々の相対リスクは1.13(0.73-1.74)、アセトアミノフェンは1.05(0.65-1.69)だった。

≪アセトアミノフェンに関する記事は以前書きました。なお、当論文では”日常的な使用”を1週間に2回以上使っている人と定義しています。≫

今週の手術は前立腺全摘除術、HoLEP(経尿道的レーザー前立腺切除術)でした。
日常業務も忙しくはなってきましたが、国際学会の抄録の〆切が近づいているのでそちらもやらないと…。


●経会陰前立腺生検時に抗血栓薬を休薬しなくても安全に施行可能

≪最近立て続けに同じような話をしたのでこんな発表を紹介します。ちなみに当院では経会陰式と経直腸式を組み合わせてやっており一応止めていますが、経尿道的レーザー前立腺切除術(HoLEP)などでも抗血栓薬を休薬しないで施行している国内外からの報告が散見されます。≫

抗血栓薬を服用している患者の経会陰前立腺生検時において、抗血栓薬を休薬しなくても経会陰生検は安全に実施できることを第99回日本泌尿器科学会総会で、大森赤十字病院泌尿器科の浅野桐子氏が発表した。

 高齢化に伴い、前立腺癌患者数が増加する一方で、抗血栓薬を服用する患者も増加している。しかし、抗血栓薬を中止することで脳梗塞などの心血管イベント発症リスクが高まり休薬には注意が必要だ。

 浅野氏らは、2008年1月から2011年3月までに経会陰14カ所前立腺生検を施行した155例を対象に、抗血栓薬継続下での経会陰前立腺生検の安全性を検討した。

 対象となった患者155例の内訳は、抗血栓薬を服用していない117例、ワルファリン内服群4例、抗血小板薬内服群34例。

 内服なし群の平均年齢が71歳に対し、ワルファリン内服群77歳、抗血小板薬内服群74歳で、抗血栓薬を内服している患者は年齢が高い傾向にあった。

 PSAは内服なし群が18.3mg/dL、ワルファリン内服群24.5mg/dL、抗血小板薬内服群27.8mg/dL。前立腺容積は内服なし群45mL、ワルファリン内服群47.5mL、抗血小板薬内服群41.6mL。出血時間は内服なし群115秒に対し、ワルファリン内服群150秒、抗血小板薬内服群135秒だった。PT-INRは、内服なし群1.01に対し、ワルファリン内服群1.96、抗血小板薬内服群1.007だった。

 生検はTRUSガイド下経会陰14カ所生検で、麻酔は局所麻酔かサドルブロック。予防的抗菌薬として生検前にTFLX 300mg単回内服、第2世代セフェム系薬剤を生検前に単回経静脈投与とした。

 生検後の合併症の分類として、グレード0を合併症なし(2泊3日までの予定入院、退院2週間後までに予約外受診なし)、グレード1を投薬治療(下熱鎮痛剤、α1ブロッカーを除く)や手術、内視鏡的処置、透視下治療などを必要としないもの、グレード2を輸血や止血剤投与など投薬治療が必要なもの、グレード3は手術、内視鏡的処置、透視下治療などが必要なもの、グレード4を脳梗塞を含む致死的合併症、ICU管理が必要なものと定義した。

 その結果、155例全例で予定した経会陰14カ所生検を完遂でき、73例に前立腺癌を認めた。

 生検後合併症については、ワルファリン内服群ではグレード0のみ、抗血小板薬内服群ではグレード1が3件で、この3件は会陰部皮下血腫で予約外受診と排尿困難にα1ブロッカーを処方した症例だった。

 一方、内服なし群では、グレード1が12件、グレード2が1件で、止血剤処方が1件、血尿によるカテーテル閉塞4件、尿閉で導尿が3件、鎮痛剤使用が2件、予約外受診2件、入院期間延長が1件だった。

 

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