泌尿器科医の徒然日誌

日々思ったこと、医療情報などを綴っています

2011年06月

先週の手術は水曜日に3件、今週は今のところ今日の2件のみ。
と言ってもと言ってもすべて終わり患者さんが病室に戻ったのは18:30過ぎ。
なんだかんだ言って8月の手術もそれなりに入ってきた。もう少し外来患者さんが増えてほしいものだ…。
 

<今週の医療ニュース>
≪≫は僕の解説

●尿路結石にCa拮抗薬とα遮断薬が有効
(本論文の原題は「Medical therapy to facilitate urinary stone passage: a meta-analysis」)
≪今日も暑かったのでまた尿路結石ネタで≫

Ca拮抗薬やα遮断薬が、尿路結石の排出を容易にすることが、無作為割付比較対照試験を対象にしたメタ分析の結果、明らかになった。結石排出までの時間が短縮するほか、痛みの出現が減少し、鎮痛薬の使用頻度が減るという。尿管平滑筋に存在するカルシウムポンプとα1アドレナリン受容体にこれらの薬剤が作用し、平滑筋を弛緩させて結石の排出を促すためと考えられている。米ミシガン大学のJohn M Hollingsworth氏らがLancet誌2006年9月30日号に報告した。

≪これ、5年前の論文ですよ。ヨーロッパののガイドラインには勿論記載されています。日本のガイドラインには記載されていませんし、Ca拮抗薬やα遮断薬は尿路結石症では保険が通ってません…。というか、今調べてみたら日本の尿路結石症診療ガイドラインは2004年以降改定されてないみたいですねー。≫

●75歳以上でも4人に1人が「性的に活発」
男女ともに約半数が性的問題を抱える

≪性機能専門医でもあるのでこんなネタも≫

高齢者の性的活発さは、年齢や健康状態によってどのように変化するのだろうか。米国における高齢者のセクシュアリティに関する大規模調査の結果、75歳以上でも4人に1人が性的に活発であるが、一方で約半数が性的問題を抱えていることが明らかになった。米国Chicago大学のStacy Tessler Lindau氏らの報告で、詳細はNEJM誌2007年8月23日号に掲載された。

≪え???、と思うかもしれませんが、これは超一流誌(NEJM誌)に載った論文なのです。だから、前立腺癌の手術でも積極的に神経温存をすべきだと思い、やっております。≫

2011/06/21 20:59
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お金を掛けずに糖尿病合併症を回避する方法

は僕とは一切関係ありません…。

これをアップしたのは2011-06-20ですが、このブログは先週分です。
三愛会のインターネット回線は細いのか、タイミングによってこのページも開けたり開けなかったりするのす…。
○村事務長さーん、ネット回線もう少し太くしてくださいよー(笑)。

ということで、

<今週(先週)の三愛会 泌尿器科>

今週は、月・火・水が手術(火曜日は緊急手術)。月曜日の手術が時間かかるだろうと思っていたのだが、思いのほかすんなり終わった。が、水曜日の手術が予想外に大変だった。3時間くらいで終わると思っていたが、癒着がひどく7時間かかった。でも、無事終わってよかった。

外来は、公開講座をやったにもかかわらずほとんど増えず…。そもそも公開講座をやった時に来場者に聞いたらこのブログを見ている人はほぼゼロに等しかった。
 やっぱり、まずは口コミだということを痛感しているこの頃…。


<今週の医療ニュース>

≪≫内は僕のコメント

●アクトスと膀胱癌

米国医薬品食品局(FDA)は15日、武田薬品工業が開発した2型糖尿病治療薬ピ
オグリタゾン(商品名Actos)およびその成分を含む合剤について、1年以上使用
した場合に膀胱癌のリスク上昇が懸念されるとの声明を出しました。

 FDAはホームページで、同薬添付文書の警告と注意事項の欄に当該情報を追加
すると発表。同時に、医師に対し膀胱癌患者にピオグリタゾンを使用せず、膀胱
癌既往の患者に使用する際は注意しながら処方するよう推奨しています。

 ピオグリタゾンに関しては、6月9日にフランス医薬品規制当局が新規処方中止
を勧告。ドイツもそれに追随していた中、FDAの対応が注目されていました。今
後、日本における処方や厚生労働省の対応などにも影響を及ぼしそうです。

http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm259150.htm


●エストロゲン服用の閉経女性は腎結石リスクが2割増
≪これはちょっと古い論文ですが尿路結石の時期になってきたので…≫

エストロゲンを使用している閉経女性の腎結石症リスクは、非使用女性に比べ21%高いことが、米Texas大学Southwestern Medical CenterのNaim M. Maalouf氏らの研究で分かった。米国内40施設で行われたWomen's Health Initiative(WHI)のホルモン補充療法研究に登録された女性を分析したもので、論文は、Arch Intern Med誌2010年10月11日号に掲載されています。

http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/short/170/18/1678

≪更年期障害・骨粗鬆症などでエストロゲン製剤を飲んれらっしゃる方は要注意ですね≫

 前回のブログ内容はやはりマニアックすぎましたね。
アクセス件数はそれなりにあったのですが、過去最低の「拍手」数でした(笑)。
まぁ、予想していたことなのでいいです。わかってくれる方に僕のやっていることが少しでも伝われば・・

今回は、ここ2週間くらいの、僕が読んだ泌尿器科領域以外の医療情報の中からいくつかピックアップし紹介します。

≪≫内は僕のコメントです

①「ディテール数ランキング」
本格的な花粉症シーズンに加え、東日本大震災による一部医薬品の供給問題も発生した11年2月~4月。更にこの時期には、心房細胞による脳卒中発症抑制で50年ぶりの新薬プラザキサ(NBI)の新発売(3月14日)や、長期投与制限が解除されたり解除間近の大型新薬もある。これらのイベントを背景にした情報活動の強化が今回のランキングから垣間見ることができる。

HPでは、前回調査(1~3月)と同様に、ファイザーの最主力品である慢性疼痛用薬リリカが全国トップをキープ。2位は花粉症シーズンではあるものの、震災で供給不安を抱えた抗アレルギー薬アレロック(協和発酵キリン)となった。アレロックはGPでも全国2位。

そしてHPの全国3位にはプラザキサがランクインした。地域別では東日本エリアと西日本エリアでトップを獲得した。Rep Trackに書き込まれた同剤に関する医師コメントには「50年ぶりの新薬」「既存品に代わる薬剤」との内容が散見され、関心の高さも相まって同剤のディテールが医師の記憶に残ったようだ。

一方、GPでは子宮頸がんワクチン「サーバリックス」(GSK)が全国トップだった。公的助成も始まって需要が増加、その結果、供給不足問題が発生している

≪情報まで≫

②「残念な医療情報提供サイト、いっぱいあります」
先日、ある専門医療のプロジェクトが情報発信用に開設したサイトを目にする機会がありました。そのサイトは、構造は分かりやすく、お目当ての情報にすぐにたどり着けそうでした。しかし、そこでも「一般の方はこれを見てどう思うだろう?」と考え込んでしまったのです。

 というのも、正確かつ必要十分な情報はあるのですが、専門用語などが多く、一般の方が読むにはあまりに難しすぎるように思えたのです。

現代の日本人は、過剰なほど親切な情報提供に慣れきっています。
例えば、お笑い番組を見れば、テロップで「ここが笑うところですよ」というところまで分かり、音を消していてもかなり内容が想像できてしまうほどです。これが良いことか悪いことかはさておき、現状はそうだと思います


一方、医療者が提供する情報はどうでしょうか?患者さんに正確な情報を伝えたい、という思いはあっても、「実際どう見られているのか」という視点が欠けていることが多いような気がしてなりません。 

現代の日本人には「分かりやすく」「飽きさせず」「知りたい情報がすぐにみつかる」ような形の情報発信が必要なのだと思います。「知りたければいくらでも調べるだろう」というのは医療者のエゴであり、「ここに全部書いてあるんだから読んでくれ」というのは、一般の方にとっては少し酷なような気がするのです。

 例えば、最初に挙げた患者さんの受け入れ状況をまとめたサイトなら、都道府県別に分け、インデックスを付けたり、表形式にしたり、ひと目で欲しい情報がみつかるような工夫ができるのではないかと思います。地震直後であれば仕方のないことですが、今の時代、SNSでボランティアを募れば、すぐに人が集まります。事情が許せばお金をかけて見やすく整理することもできるのではないでしょうか。

≪以前のブログにも書きましたが同感です≫

③「検診での心臓の聴診の意義? 」

≪医師向けのサイト上でこんなことが話題になっていました。僕は循環器医ではないですが、循環器は勉強していたので個人的には意味ありと考えます≫

④「海外においてアセトアミノフェンは鎮痛剤の基準薬です。日本でも国際的な標準用量が投与できるようになりました。」

≪はっきり言って今更?と言った事です。当院泌尿器科は以前から海外のガイドラインに沿って使ってます。だって、子供にも(妊婦にも)使えるような安全性の高い薬ですよ。≫

⑤「平日なのに外来患者がまばらな「病院」」

ドイツの医療制度について、古くから医薬分業体制が確立していることはよく知られています。しかし、案外と知られていないこともあります。その一つが、家庭医・開業専門医・病院の三者の役割分担の厳密さでしょう。

一般外来は開業医院、入院は「病院」で
 「あれー、今日この病院は休みだったのかな?」――。平日火曜日の午前11時、患者でごった返すフロアを想像しながら8階建ての総合病院を訪れると、入口正面の受付カウンターの周りは人もまばら。10席ほどしかない待合椅子はすべて空席で、奥には売店、救急外来室、病棟へのエレベーターの案内板があるだけ。日本では「病院」と訳されるクランケンハウス(Krankenhaus)ですが、実際は文字通り「患者の家」で、入院治療のための施設なのです。

 では、一般の外来(Ambulanz)診療はというと、基本的には開業医院(プラクシス:Praxis)が担っています。プラクシスには、後述する家庭医と各領域の専門医(いずれも専門医資格が必要で、標榜は1領域のみ)によるものがあります。外来の診療はほとんどすべて予約制で、朝早くから順番待ちという光景は見られません。早く来たからといって、早く診てもらえるわけでもありません。

 外来通院中の患者に入院の必要性が生じると、プラクシスの医師がクランケンハウスと連絡を取って入院(または入院の可否のための診察)をアレンジします。患者が退院するときは、紹介元のプラクシスへ入院経過書が送られ、治療の継続を図ります。急患が直接クランケンハウスを訪れた場合でも、入院の必要がなければ、「応急処置を受けた後の治療はプラクシスで」ということになります。

 一方、クランケンハウスは入院治療の場です。極端な言い方をすれば、日本の病院から主たる外来機能を省いたような形態を想像すれば理解しやすいかもしれません。 そのため、クランケンハウスの医師の仕事は病棟(Station)勤務が主で、さらに紹介患者の診察、救急外来での業務、諸検査が加わります。例外として、公的保険の疾病組合から許可を得て、紹介患者の内視鏡検査外来を併設しているクランケンハウスもあります。なお、クランケンハウスには専門医を目指す卒後研修の場としての役割もあります

≪あ、今の当科とおなじ?(笑)、と思って読んでみると全然違いました。分業がしっかりなされてます。日本と違って…≫

⑥「腎機能評価にシスタチンC」

腎機能の新しい指標として、シスタチンCが注目されている。筋量に影響されるクレアチニン(Cr)に比べ、糸球体濾過量(GFR)を正確に反映する。現在、シスタチンCを基にしたGFR推算式の作成も進行中だ。

≪1年半くらい前、大学で後輩が論文書いたので見てくださいとシスタチンCの内容を持ってきました。内容は良いなぁと思ったのですが、直したものをその後持って来ない。あいつ、この研究続けてるのだろうか?≫

⑦「カテーテル挿入直後死亡…山形大病院」

山形大医学部付属病院は2日、心臓近くの大静脈に管(カテーテル)を挿入する処置を受けた県内の70歳代の男性入院患者が、挿入直後に死亡したと発表した。
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発表によると、5月31日夕、主治医が男性患者の右鎖骨付近から太さ1ミリ強の「中心静脈カテーテル」を心臓に向かって13センチ挿入。直後のレントゲン撮影で異常はなかったが、約20分後に、男性はショック状態になり、そのまま死亡した。

同病院が行った解剖の結果、心臓と心臓を包む膜の間に通常なら存在しない血液約400ミリ・リットルが見つかった。これが心臓を圧迫し、死亡につながったとみられるという。

管の挿入は、抗がん剤や栄養剤を注入するのが目的。男性患者は1か月ほど前にも同じ手術を受けていたが、心疾患や心機能の低下はなかった。

同病院では「管の挿入処置に間違いはなかった」と話し、院内に調査専門委員会を設置して原因を調べることにしている。

≪最近は訴訟云々で研修医は殆どこの処置をやらせてもらえないそうです。やらなかったらうまくならなりませんよね→合併症も増える…。だから指導医がしっかり教育するようにすればいいのです。かといって大学病院など激務の中では指導してる時間なんかありません…。国がこのシステムを改善しない限りは解決しないでしょう≫

⑧「紙情報をiPhoneに取り込み、電子情報として活用」

利用するシーンですが、例えば院内カンファレンス時のホワイトボードの書き込みや、外来患者が書いている血圧や血糖などの自己記録などを画像として残しておきたい時に、単にカメラアプリの写真画像として残すよりも、きれいに保存できます。画像ファイルはJPGやPDFなどの形式で保存でき、OCR(Optical Character Reader)機能もあるので、ファイル内の文字列検索も容易です。

 またDocScannerは、Evernote(個人で利用するファイル管理をクラウド上で可能にしたサービス)とも連携しているので、iPhoneだけでなくパソコンとの連携も素早く行えます。とにかく紙情報の多い医療業界、紙の情報を電子化することで情報を手軽に扱うことができ、また職員同士でシェアできるというメリットを生むことになります。もちろんですが、情報の管理体制をしっかり構築した上でという大前提があってこそです。
(中略)まだまだ情報の電子化が思うように進まない医療・介護業界にではありますが、既存の紙情報とiPhoneやスマートフォンの連携について、今後も色々な展開が待っていそうです。

≪僕もiPhoneユーザーですが、一度使うと手放せません。電話としてはよろしくないですが…。病院でiPadを支給しているところもありますしねー。≫

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タイトルの言葉は今年の日本泌尿器科学会総会で東北大学の荒井教授が仰ってた言葉です。
「なるほど。いいフレーズだな」と。思ったので今回使わせていただきます。
(荒井先生の許可は得てないですが…)

このブログは三郷界隈の方々向けに書いているつもりなのですが、複数の泌尿器科医の先生方から「ブログ読んでるよ」という連絡を頂きました。

ということで、今回はちょっとマニアックに…。

僕が以前
「僕が腹腔鏡手術(ラパロ)に手を出さなかった理由」(2011/04/11)
の記事の中で書いた、広範前立腺切除術(=拡大切除術)の直近の摘出標本を載せます。

腹側からの写真はピンボケしてるので直腸側から見たもののみ載せます…。

 泌尿器科の先生、または前立腺全摘も行っている外科の先生、それから(マニアックな)患者さんは通常の前立腺全摘術との違いをわかっていただけると思います。
より根治性を高めるためにデノビエ筋膜を前・後葉とも切除(つまり、摘出後の術野は若干の直腸前脂肪識と直腸筋層が見えてます)してます。精嚢は直腸側からみるとデノビエ筋膜に隠れて見えていません。。。

市中病院でも今まで同様 or それ以上にこだわってやっております。。。

今後もまだまだ、磨きをかけていきます。毎回、試行錯誤し、少しでも技術を進化させていこうとやっています。

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